2019年02月09日

桑。

私の故郷・埼玉県秩父は「秩父銘仙」という着物がある事もあり絹糸を作るため養蚕が盛んだった。小学校の頃の通学路は右も左も桑畑ばかり。桑畑がどこにでもあるというのが普通だった。母方のおばあちゃんの家は私が小さい時に蚕を飼うための倉庫のような場所があり、その真ん中にはブランコのような天井から吊ってある作業台があった。その台に蚕のエサとなる桑の葉を乗せて、その倉庫で飼っている蚕にまんべんなく桑の葉がいき届くようにしていた。その動く作業台に時々乗せてもらってはゆり動かしてもらい遊んでいた記憶がある。その倉庫の中がすごく蒸し暑かったのか、おばあちゃんちに遊びに行っていた時期が夏の暑い時だったせいなのか、思い出す時はいつも天気は綺麗な晴れで夏真っ盛りの情景だ。

1stアルバム『Hasiken』に収録した「桑」という曲は、そのアルバムを制作していた時の最新曲で作った当時タイトルはなかった。レコーディングが進みタイトルを決めなくてはいけない時がきた時、おばあちゃんちのあの桑の葉まみれの倉庫で遊んだ事を思い出した。曲の中では、暑く蒸す日が続く中で人と人が愛している姿、愛してる人の心の中で渦巻くものを描いている。「桑」という曲には歌詞に「桑」という言葉は出てこない。でも自分の中で確かにリンクするものがあった。それは無数の蚕が桑の葉を食べている時に起こる「ガサ、ガサ」という音のおかげもある。あの独特の音は、蚕の日常の営みには違いないがとても悲しく響いてくる。それは蚕が糸を作るためだけに生育され糸を出したらお役御免となってしまう事を少し大きくなって小学校の社会見学で絹糸を作る工程を見て知ったからだと思う。

秩父にいる時はよく考えたらあんなに桑畑ばかりだったのに桑の実を食べた記憶がない。逆に最近の方がよく食べてる。桑の実、口の中がめっちゃすごい色になるけど美味しい。樹によってかなり味が違う。

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posted by ハシケン at 17:48| Comment(0) | 日々のおもひ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする