2019年04月08日

私のルーツ(リズムの源流)。

4月8日は花祭りということで思い出したことがある。デビュー前の1994年、東京築地にある「築地本願寺ブディストホール」でコンサートを姉にかなり協力してもらって開催したことがある。

そのコンサートのメインとして考えたのは私の故郷・埼玉県秩父に伝わる「秩父屋台囃子」と沖縄民謡の融合だった。日本三代曳山祭りの一つ「秩父夜祭(近年ユネスコ無形文化遺産に登録された)」は、秩父神社の女神様を載せた山車を町中練り歩き、秩父を象徴する山・武甲山の男神様と一年に一度引き合わす祭り事。この祭りに使われる山車はそれぞれ大きく、台車部分上部に屋台囃子を奏でる人たちが天井が狭いながらも入れるスペースがありその上で歌舞伎を演じる舞台も備わった豪勢な作り。江戸時代から行われてきた秩父夜祭は私にとって生まれた時から当たり前の行事。収穫が終わり冬の寒さが厳しさが増す(秩父地方は盆地ということもあり夏は40度くらいまで気温が上がり冬は気温がマイナスになる)12月1日から6日までの期間。6日間秩父神社の祭事はあるがメインは12月2日と3日。小さい頃はお祭りに連れていってもらって冬の乾いた空気に繰り出される豪華な花火を楽しんだ。大きくなってお祭りそのものに行かなくなっても遠くから聴こえてくる地をうねる様に響く屋台囃子と家の窓から見る花火は年末が来たんだなと思わせる最大の恒例行事だった。

秩父屋台囃子は数名の小太鼓に基本一人の大太鼓、鐘、笛で構成されている。小太鼓奏者と大太鼓奏者は途中で入れ替わっていく。集落によって屋台囃子のグルーヴは違う。私が知っていてしかも好きなグルーヴは小太鼓が「跳ねない」スクエアなリズムを刻み大太鼓が「跳ねる」リズムで乗っかっているものだ。このグルーヴが違うものを同一線上に載せ演奏するやり方は世界各地の民族音楽に多数見られる。小太鼓がひたすら「タンタカタカタカ・・・」とスクエアに刻む上に大太鼓が少し横揺れをしながら「ダッドン、ダダダダッドン」などと打っていく。

1993年に沖縄民謡を沖縄県沖縄市で習った時に色々な民謡を唄者を生やカセットやCDで聴ける機会があった。その時に唄三線はあまり跳ねていないリズムなのにそこに加わる太鼓が跳ねていたり・・その逆もあったり。唄三線を一人でやっていて唄はジャズのスウィングを感じさせるグルーヴがあるのに三線はしっかりとしたスクエアな演奏だったり。その逆もあったり。そのグルーヴのおきどころがとても自由だと感じた。それと同時に私が生まれた時から聴いてきた秩父屋台囃子と沖縄民謡を同一線上に奏でることが可能な気がしてきた。

沖縄から戻り「計画」を実行するために動き出した。秩父屋台囃子と言えば、この人!という人がいる。高野右吉さんだ。二代目高野右吉さんと秩父社中は海外公演も精力的に行い太鼓集団の「鬼太鼓座」や「鼓童」の方達にも屋台囃子を教えている。高野右吉さんに実際に会いに行き私がやってみたいことを説明させてもらった。初め私の意図してるものがあまり通じてない印象があったが(私もうまくやりたいことを言葉で説明できなかった気がする)スケジュールを合わせていただき7、8名で秩父から東京築地に来てもらえることになった。

コンサート当日前半は私のオリジナルや沖縄民謡を演奏し後半二代目高野右吉さんと秩父社中の皆さんに登場していただきその勇壮な屋台囃子の上で沖縄民謡「唐船ドーイ」を歌った。今よりおそらく声が出ていなかったと思う(笑)。ただ小さい頃から聴いてきたリズムの上で自分のイメージするものを「遊ばせて」もらった感触がとても気持ちよかった。

余談だがある本で「集落」のことを「シマ」と呼ぶのは沖縄地域・奄美地域・埼玉県秩父地域という記述を読んだことがある。これが本当かどうかちゃんと調べていないがもしそうだとしたらこの3地域に私は全て関わっていて面白い。秩父ははるか遠い遠い昔まだ人が住んでいなかったような時代に海だったらしい。なのでアンモナイトの化石が出土する。そして象徴でもある武甲山は一説に寄ると『南方にあった火山島が活動を終え浸食によって削られサンゴ礁をまとうようになる。そのサンゴによってできた石灰岩の山』らしい。秩父の南に位置する山深い場所「大滝」という地域の人たちの苗字に「千島(ちしま)」という人たちが多い。たくさんの山がある場所に霧が立ち込めると山の頂上部分だけが浮かび上がりたくさんの島のように見えたから、という話を聞いたことがある。でも海がない地域で島を見たことがない人たちばかりだったのに「たくさんの島」のように見えたというのは不思議な話だ。島を知っている遠くの人たちが移住してきた場所なのだろうか。色々思い巡らせることができて楽しい。

ハシケン画 「秩父夜祭」
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posted by ハシケン at 21:45| Comment(0) | 日々のおもひ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする