2019年04月13日

ズルい楽器。

今まで実際にその音を生で聴いたことがあって、プラスできたら共演経験がある楽器の中で私が「ズルい楽器」と呼んでる楽器がある。私が「ズルい楽器」として決めるために1つ大きな条件がある。それは「1音出しただけで、その楽器特有の世界へ引きずり込むことができる」。

昨年まで「ズルい楽器」は3つだった。まず1つ目は私のCDやライヴで数多く共演歴がある高田漣くんが得意とする楽器の1つ『ペダルスティールギター』。漣くんの他にアルバム『感謝』と『限りなくあの空に近い』に尾崎孝さんにもペダルスティールで参加していただいている。ペダルスティールの「ズルい」とこは何と言っても見た目に何をどうしてるかよくわからないのに(笑)独特の浮遊感や哀愁を漂わせその世界に引きずりこむことができるところ。私の曲の中で代表的なのは「凛-りん」(『感謝』収録・尾崎孝さん演奏)、「今日もよろしくね」(『Hug』収録・高田漣くん演奏)、「下北沢」(『Hug』収録・高田漣くん演奏)。

2つ目は『バンドネオン』。アルゼンチンタンゴの象徴的な楽器。この楽器もほんと「ズルい」(笑)。生では何回も聴いているが共演経験は残念ながら、ない。チャンスがあればライヴで共演もしたいしレコーディングにも参加してもらいたい。まずはバンドネオンが活かせる曲を書きたいなぁ。20代の頃コンサートで観た京谷弘司さんのバンドネオンは衝撃だった。「ハシケン×江藤有希」の江藤さんとよく共演してる早川純くんのバンドネオンも素敵だ。バンドネオンと言えば絶対外せない「アストル・ピアソラ」。20年前にピアソラの「リベルタンゴ」を漣くんと一緒に演奏したことがある。1つ目と何気につながってた!映画『ピアソラ 永遠のリベルタンゴ』は観たいと思ってたけどタイミング合わずまだ観れていない・・。バンドネオンの音色は人間の声以上に人間の心の奥底に眠っていたり沈殿している感情をあぶり出すような気がしてる。そして哀愁。ピアソラの音は特別「ズルい」。

3つ目は『チェロ』。カエターノ・ヴェローゾを始め様々なアーティストとの共演で知られる「ジャック・モレレンバウム」のチェロは「ズルい」。特にカエターノとの共演ライヴは大好きだ。チェロは音域が思ったより広く、その音域はちょうど男性の声と見事にかぶっている。だからデュオとかで演奏する時は音域の近さから音があたってしまう危険性があるなぁとよく思う。でも音域が近いことで歌に寄り添ってもらうことやベースの音域までカバーできることもあり弾き語りとチェロのデュオの発展性や追求していく点がかなりあるなぁと感じている。ライヴ共演やレコーディングに参加してもらってるのは、橋本歩さんと薄井信介くん。歩さんが初めて私のCDに参加したのは『青い月』収録の「空へ」。サビの中でどうしても弾いてもらいたいフレーズが1つあってそれを指定させてもらったがそれ意外は歩さんがその時作り上げてくれたもので曲を構築した。歩さんとはデュオライヴ、そしてハシケンフルバンドスタイルでもチェロを弾いてもらったりライヴバージョンの「赤い実」のストリングスアレンジも担当してもらってる。薄井くんは2009年「中村瑞希&ハシケン」のCD『TSUMUGI』のレコーディングで初めてチェロを弾いてもらった以来、私が音楽を担当した映画「朱花(はねづ)の月」(河瀬直美監督作品2011年公開カンヌ国際映画祭公式ノミネート)でテーマ曲、そして映像を観ながらのアドリヴ演奏まで素晴らしい演奏で参加してもらった。ハシケンmeets伊藤大地『ファンタジー』の「この世界で」「バトン」にも。バイオリン、ビオラ、コントラバスなどのクラシックに使われる弦楽器では感じない「お腹の中心(ある人が言っていたが「子宮に響く音」らしい)」への振動を私には感じる。そしてやはり哀愁。私が「ズルい楽器」と感じる楽器には必ず「哀愁」を感じている。バイオリンにも哀愁を感じるが、チェロの哀愁はより深く、人生の「澱(おり)」のようなものも含んでる気がする。実はチェロを独学で少し弾いていた時期がある。だからチェロと弓がそこにあれば一応音を鳴らすことはできるけど自由に弾くことはできない。あの楽器を自分の弾きたいように弾ける人のことを「ズルい」とも思ってる(笑)。

このブログの冒頭、昨年まで「ズルい楽器」は3つだった。と書いた。昨年「ズルい楽器」が新たに1つ増えた。アラブの琴『カヌーン』。昨年広島オーティス!のオーナー佐伯さんから紹介していただきドイツのベルリンで2回共演したベルリン在住の増田真吾さんが奏でるカヌーン、1音弾いてもらっただけでその音に魅了された。「これはズ、ズルい・・」とすぐに思い「ズルい楽器」認定!ベルリンでは「美しい島(くに)」「バトン」などで参加してもらった。来月、真吾さんが日本に帰ってくるタイミングと私がツアーをするタイミングがうまく合い、しかも四国で会えそうだったので高松ラフハウスで国内初の共演をさせてもらうことになった。私の曲にもちろん参加してもらう予定だけど真吾さんのソロ演奏もとても素晴らしいので楽しんでもらいます。ぜひ観ていただきたい。真吾さんのカヌーン、ほんと良いですよー!

『ハシケン&増田真吾LIVE!』at高松ラフハウス
歌にやられるボーカリスト・ハシケンと、現在ベルリン在住のカヌーン(アラブの琴)奏者・増田真吾が昨年の2度のベルリンで共演を経て今回高松だけのスペシャルライヴが決定!ハシケンと歌とカヌーンの美しい音色が合わさり極上の世界が広がります。
詳しくは→ http://www.hasiken.com/live/190521live

色々なアーテイスト名を書いてみたけど、気になる人がいたらぜひ自分で検索やチェックしてみてくださいねー。


真吾さんの「カヌーン」。見た目も音色も素晴らしく「ズルい」。
kanun shingo.JPG

真吾さんの演奏を観ることができる映像。
posted by ハシケン at 13:47| Comment(0) | 日々のおもひ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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